ホビーアニメを観ていたらいつの間にかアホになっていた

現在放送中の子ども向け番組を中心に、アニメや特撮ドラマについて書いていく。毎話「感想」を書くわけではなく、気になった話数や一般的な議論に関する記事を書く予定だ。

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同性の主人公とライバルによる対立と調和〜漫画・アニメのテンプレ設定について〜

現在の日本の漫画やアニメにありがちな設定に、同性の主人公とライバルが対立しながら同じ敵に立ち向かったり、同じ目標を目指したりするものがある。現在放送中のアニメで言えば、『バトルスピリッツダブルドライブ』や『アイカツスターズ!』が当てはまる。これらの作品は、同性の主人公とライバルを設定することで、彼らが切磋琢磨しながら、強敵に打ち勝つため、あるいは頂点に立つため、成長していく模様を効果的に描いている。だが、主人公に対し、共に成長する明確なライバルが設定されていなかったり、ライバルが異性であったりするケースもある。そのような中で、2人を中心に物語を描くことには何らかの意味があるに違いない。そこで、これらのアニメの特徴について検討した。つまり、同性の主人公とライバルが切磋琢磨するアニメには、それなりの目的があるはずなのだ。

 

主人公とライバルが対立するアニメ

主人公とライバルが互いと戦闘や喧嘩をする場合、最終的には互いへの嫌悪感を払拭し、共闘する展開になっている。『NARUTO』及び『〜疾風伝』においては、全体としては、チームメイト同士で仲の悪かったうずまきナルトとうちはサスケが、あることをきっかけに敵同士になるものの、最終的には大いなる敵を倒すために共闘するという流れが描かれている。『バトルスピリッツダブルドライブ』においてもそれはだいたい同じで、最初は仲間割れをしていたが最終的に同じ方向を向く、という展開を繰り返している。

 

2016年5月18日放送の第7話「仕組まれた罠!」では、好戦的な主人公・茂上駿太とライバルのヨク・アルバトロサが、レアカードが眠っているという遺跡を見つけるために、探索に出かけた。その途中、2つあるうちのどちらの道を行くかで対立し、結局二手に分かれるが、落石や橋の崩落により道を塞がれてしまう。しかし、普段は戦闘を好まないメイ・メリーハッダが戦闘を開始した*1ことで、遺跡があるというのが敵が作った嘘だと分かる。そして、メイを助けに行くため、2人は力を合わせる。力を合わせたことで塞がれた道から脱出することができたのであり、対立したままでは道は開けなかった。このように、対立する者同士が問題解決のために共闘することで、良い結果が得られるという教訓を視聴者に与えるのが、共闘展開の利点である。

 

主人公とライバルが高め合うアニメ

主人公とライバルが同じ舞台に立つライバルとして描かれる場合、互いを高め合うことで素晴らしいステージが出来上がることを視聴者に教える。『プリティーリズム・ディアマイフューチャー』では、女児向けアニメに珍しく、主人公とライバルが設定された。主人公の上葉みあはプリズムショー*2は未経験だが、才能のある少女である。プリズムクイーンの春音あいらを倒し、一番になることを目標にしている。一方で、ライバルのヘインは主人公の(国境を超えた)親友でありながら、主人公よりもプリズムショーの経験が長い努力型という正反対の属性を持っている。みあがその才能で彼女の所属するユニットPrizmmy☆を引っ張っているのに対し、ヘインは、自分が(ライバルチームの)PURETTYのセンターでありながら才能がないことを気に病んでいるのだ。

(ここからネタバレが混ざりますので、自己責任でご覧ください。PC版が黒背景かつスマホ版が白背景である関係上、反転が使えません。)

 

 

 

 

 

 

そんな2人は最終クールにおいて、世紀のショーにてプリズムショーを救う救世主を選ぶためのステージに立つ。大切な親友だから戦えない、でも、勝たなければ救世主になれない。最強のドレスを身にまとった2人は、2人の友情を描いた最高のプリズムアクト*3を跳び、客席を沸き立たせる*4。最終的に、観客はどちらか一方に決めることはできず、2人で世界を救うことになる。

 

 

 

 

 


このように、毛色の違う主人公とライバルが互いに高め合うことで、最高の芸術が生まれる。とても強く美しい力が生まれる。芸術を成果に置き換えれば、より普遍的な教訓になるだろう。2人が競争することで、より優れた成果物が生まれるのだ。

 

同性ライバル対立&調和疑問に対する疑問

なぜ2人なのか

2人である理由は、性格や中身が異なる2つの主体が対立しあう方が、複数ライバルがいるよりも、シンプルで分かりやすいからだ。もちろん、主人公と対決する相手は複数いてもよい。だが、主人公と対立し、調和しあうことで強い絆を勝ち取るのは1人だけだ。ライバルが複数いるときに問題となるのは、ライバルの成長が描ききれないことだ。例えば、アニメ『ポケットモンスター』の一部のシリーズのように、主人公やヒロインに複数のライバルがいるとき、ライバルが多すぎると、そのキャラクターの登場回を見逃した人や真剣に観ていない人は、ライバルを覚えきれない。なぜなら、ライバルがいつの間に強いポケモンを捕まえていたり、既存のポケモンが進化しているという方法でしか成長が表現されず、キャラが希薄になりがちだからだ。1人だけをライバルに設定すれば、そのキャラと主人公の関係をたっぷり描くことができ、視聴者の印象にも残る。

 

それに加え、ライバルが多すぎると、主人公が留守になることがある。『遊戯王ARC-V』がまさにその状態だ。本来のライバルに当たる赤馬零児は主人公とほとんどバトルをせず、実質的に主人公のライバルがたくさんいる(=ライバルとして機能していない)。主人公のライバル同士のバトルがかなり描かれ、主人公とライバルのバトルがそこまで描かれていないというのが筆者の印象だ。対立しあうライバルが複数いた場合、ライバル同士の対立まで描かれてしまうと、視聴者としてはすっきり観られない。それに、主人公が観戦者になりすぎると、主人公がサブキャラと化し、そのアニメの存在意義の多くが失われてしまうだろう。いずれにせよ、シンプルで観やすいアニメにするには、ライバルは1人でよい。

 

なぜ同性なのか

異性同士のライバルにすると、恋愛展開になってしまう。現在放送中の『双星の陰陽師』は、高い才能を持つ陰陽師である2人の少年少女が予言により許婚とされ、共同生活をしながら、ケガレと呼ばれる妖怪を退治していく物語である。主人公の閻魔堂ろくろとライバルの化野紅緒は仲が悪い*5。別行動を取ることも多いが、ただ、互いのピンチには駆けつけるようになっている。アニメの7話ではついに、2人きりで生活することになってしまい、試練(脱出ゲーム)を与えられた2人の「夫婦喧嘩」が描かれる。もし、これが男同士・女同士で描かれたのであれば健全であったのだが、男女間で描かれてしまったため、ひどく不健全になってしまった*6。寮のルームメイト同士である少女2人が対立するとか、少年2人がレアアイテムを手に入れるために試練に挑むのであればおそらく健全だっただろう。今回の内容が現在の夕方6時25分に放送できる内容だったかどうかは『銀魂』の前例もあるのでどうとも言い難い。そもそも、許嫁という制度自体が世界人権宣言や日本国憲法に反する非人道的制度である。『らんま1/2』の時代よりも人権が重視されている今の時代に、描いてよいものなのかはわからない。だが、この時間帯にやるのであれば、男同士・女同士の方が、確実に適切だったはずだ。もし恋愛を描きたいのであれば、現代の社会秩序に沿ったものにし、あるいは、同性同士というオブラートに包んだ方が良いだろう。


ここまで長々と愚痴を綴ってきたが、主人公とライバルの対立を描く目的は、2人が対立し、調和することによって得られる利益を表現することである。もちろん、男女が手をとりあうことも重要だが、それには健全性が保たれる内容が望まれる。そうした意味では、同性同士であれば、ほぼ健全性が保たれるため、健全で教育的な内容が出来上がる。その上で、男女の共同参画のために、活躍する女性キャラクターを入れる必要があるのだとすれば、きっと問題はさらに複雑になるのだが……

 

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*1:バトルフィールドの結界が張られたことに気づいた。

*2:フィギュアスケートのような競技で、衣装やダンス、プリズムジャンプと呼ばれる必殺技を総合して評価される。

*3:プリズムジャンプが劇場的な演出へと進化を遂げたもので、自らの想いや、メッセージを届けたい誰かの想いを反映した演出がなされる。

*4:同じ空間に飛ばされたが、別々のプリズムアクトを跳んでいる。

*5:おそらく勝手に許婚にされた(かなり直接的に子どもを産めと言われた)ことによる羞恥心からくるものだと思う。

*6:ろくろが紅緒のスカートの中身を見た。

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